高齢者のムシ歯
単に歯を残すだけでは十分ではありません。
ムシ歯にならず、またハグキも丈夫で歯周病にもならなくて、あまり歯を失うこともなく年齢を重ねていくことは素晴らしいことです。
ある調査によると65歳以上で残っている自分の歯の数は増えてきているそうです。 そして、自分の歯が多い分、ムシ歯の数も増えてきているようです。
高齢者のムシ歯の特徴
1.被せ物などの境目のムシ歯
大人のムシ歯の所でも書きましたが、1度治療した歯は悪くなりやすいものです。特に被せてしまうとわかりませんし、歯は丈夫だと思っている高齢の方はどの歯を治療したのかもわかっていないことがあります。
自分ではなんともないと思っていても、時には歯科医院に足を運ばれることをお勧めします。
今ご自分のお口の中がどのようになっているのか、被せている歯、神経のない歯はどこなのか、1年に2〜3回は健診されるいいでしょう。
2.歯根面ムシ歯
歯の根っこが露出する、歯が長く見える状態になると歯根面ムシ歯と言われる状態になりやすくなります。歯の根元部分は硬いエナメル質ではなく、象牙質のように軟らかいセメント質で覆われているので、ムシ歯になりやすく、進行も早いため、神経を取ったり、場合によっては歯を抜いたりすることがあります。
※高齢の方がムシ歯になるのは唾液が減少してくる事も一つの原因です。 唾液が減ると、お口の中をキレイにする作用(自浄作用)が減って、ムシ歯の原因菌が活動しやすい環境になってしまいます。
年齢が高くなれば自然に唾液の分泌量が減りますが、お薬を飲む必要も増えてくることもまた唾液量と関係します。
降圧剤や、睡眠導入剤、などは多くの方が使っていますが、唾液の分泌を抑制することもあります。
3.治療と予防
被せ物がムシ歯の場合は一度はずして、内側を確認することが必要でしょう。治療をして問題なければまた被せます。ムシ歯が進んでしまっている場合は同じように被せる事ができない場合があります。根面ムシ歯は初期であれば表面をきれいにして、フッ素等を使って、再石灰化を促し歯の表面を強くして新たなムシ歯の発生を防ぎます。
進行している場合はレジン充填、セメント充填など行います。痛みが強い場合は神経をとることを行うこともあります。 定期健診、PMTC等でクリーニングを行う事で、ムシ歯を防ぐ事をお勧めします。
ご高齢になって、様々な事情で歯科に足を運ぶことができない方には、訪問診療を実施しています。ムシ歯治療だけでなく、義歯、ハグキ治療、口腔ケア等も訪問診療で対応しています。必要な方は是非ご相談下さい。