インプラント治療とは
インプラント治療をご存知ですか?
インプラントとは、厳密には人の身体に埋め込む人工物のことを言います。またそれらを総称して人工臓器に枠組みされています。歯科診療に用いられるインプラントは、「デンタルインプラント」と言いますが、近年は歯科におけるインプラント治療が一般的になっており、単にインプラントと呼ぶことが多くなっています。
歯を失ったときに、人工の歯根(インプラント)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯(被せ物)を入れる方法です。顎の骨にしっかり固定されているので、自分の歯のようにしっかり噛むことができます。
従来は、歯を失った治療法としてブリッジや入れ歯が一般的でしたが、天然の歯と同様な審美性と咀嚼を獲得できるため近年はインプラント治療を希望される患者様が男女、年齢問わず増えています。
歯は、目で見える部分と、それを支える歯根から成り立っています。歯を失うということは、それを支えている歯根も失ってしまうということです。「インプラントと差し歯は何が違うの?」という方も少なくありませんが、差し歯は歯根が残っている状態で行う治療であり、インプラントは歯根がない場合に行う治療法です。
インプラント、ブリッジ、入れ歯との比較
歯を失った本数や場所も人それぞれ異なり、お口の中の状態によって治療法は変わってきます。 ほんの一例ですが、インプラント・ブリッジ・入れ歯の違いを見ていきましょう。
ブリッジ治療
歯を失った歯の両隣の歯を大きく削って支台歯としそこに連結された被せ物を接着する方法です。被せ物が橋(ブリッジ)渡しのような状態になっています。ブリッジは支台歯と被せ物を接着剤で固定するので、取り外しができる入れ歯より違和感が少なく安定し、しっかり噛むことができます。しかし、健康な歯を大きく削って入れなければなりません。支えとなった両隣の歯は、通常よりも大きな負担が加わるので寿命が短くなります。
入れ歯治療
歯を失った場所は歯ぐきだけになってしまいます。そこに人工歯が並べてあるプラスチックでできた取り外し式のバネが付いた装置を入れる方法です。異物感が大きかったり、部分入れ歯では金属のバネが目立ったりします。また、噛む力が自分の歯と比べると70%ほど下がると言われています。さらに、ブリッジほどではありませんが、バネがかかった歯は噛むたびに揺さぶられて、負担が重なっていきます。
インプラント治療
ブリッジ・入れ歯とは違い、大きく歯を削ったりバネが付いた装置をかけたりする必要がないので、他の健康な歯への影響や負担が少ない治療法です。
もともとの自分の歯と変わらない噛む力と、見た目の美しさを取り戻すことができます。
また、保険のブリッジ治療の平均寿命は4~5年、入れ歯の寿命は平均2~3年と言われていますが、インプラント治療の10年生存率(10年後も健康な状態か)は90%を超えています。
ブリッジ | 入れ歯 | インプラント | |
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審美性 | 素材によってはより審美性が回復できる | 部分入れ歯の場合、金属のバネが目立つ | 天然歯に近い |
噛み心地 | 天然歯に近い | 入れ歯が合わないと、痛みや違和感を生じる | 天然歯に近い |
噛む力 | 天然歯に近い (支えになる歯の状態によって異なる) |
天然歯に比べ、部分入れ歯で40%程度、総入れ歯で20%程度 | 天然歯に近い |
他の歯への影響 | 支えとなる歯を削る必要がある | 部分入れ歯は、バネをかける歯に負担をかける | 独立した歯をつくるため、影響しない |
味覚 | 影響しない | 熱を感じにくく、味覚に影響する | 影響しない |
インプラントのメリット・デメリット
インプラント治療を考えるなら、メリット・デメリットをきちんと把握しておくことが大切です。
特にメリットばかりに注目しがちですが、治療後に「こんなはずではなかった……」と後悔しないためにも、デメリットもしっかり知っておきましょう。
メリット
1. 自分の歯と同様に咀嚼可能
最大のメリットは、自分の歯と同じように咀嚼(そしゃく)できることです。
ブリッジや入れ歯では力を入れて噛むことが難しかったり、熱いものを飲食することに抵抗があったりする方もいます。
2. 自分で行なうケアが簡単
術後に定期的なメンテナンスが必要になりますが、セルフケアは通常の歯と同じような歯磨きで大丈夫です。
入れ歯のアタッチメントの洗浄のような面倒な作業はありません。
3. 周囲の健康な歯を守れる
人工歯根を1本1本埋め込むため、それぞれが独立した歯となります。そのため、ブリッジや入れ歯のように、周囲の歯を削ったり負担がかかったりすることはありません。
負担がかかった歯は寿命も短くなるため、周囲の歯をできるだけ多く残したい方におすすめです。
4. 丈夫で長持ち
主に「チタン」や「チタン合金」という金属で作られています。この金属は生体親和性に優れ、あごの骨としっかり結合するため、強く噛みしめても耐えられる強度があります。
また、定期的にメンテナンスに通ってきちんとセルフケアをすれば、10年以上長持ちさせることも可能です。
5. 見た目がきれい
口元の印象は歯によって大きく左右します。入れ歯やブリッジの場合は色味が不自然であったり金具が見えたりと、見た目の印象が悪くなりかねません。
インプラントなら見た目も天然の歯と同じようにきれいになり、会話や飲食の際に口を開くことに抵抗を感じないでしょう。
6. 骨が痩せるのを防げる
天然の歯は歯根を失ってしまうと、咀嚼したときに力が骨まで届きません。刺激が届かなくなった骨は次第に痩せていき、周囲の歯にも影響が出始めます。
インプラント治療はあごの骨に人工歯根を埋め込むため、咀嚼すると骨まで刺激が伝わります。日々咀嚼して刺激を与えると、あごの骨の健康を保てるのです。
デメリット
1. 保険がきかないため高額になる
先ほども少し触れましたが、通常のインプラントは基本的に健康保険がききません。自費診療となるため、治療費は他の治療法と比べると高額になります。
また、どのくらい治療費がかかるかは、個人で異なります。手術前にカウンセリングをしっかり受け、治療費を確認のうえ治療を始めるとよいでしょう。
なお、健康保険はききませんが、インプラントの治療費は医療費控除の対象になります。
医療費控除とは、1年間に10万円以上の医療費が発生した場合、所得に応じて治療費の一部が還付される制度です。
インプラント治療をする場合は、医療費控除の申告を行なうことで治療費の負担を軽減できるでしょう。
2. 治療期間が長い
インプラントの治療期間は個々の症状によって異なりますが、約4~6ヵ月です。
他の治療法と比べると治療期間が長くなるため、さまざまな予定が立てづらくなることも考えられます。治療期間については、インプラント治療を受ける前にしっかりと確認しておきましょう。
3. 定期的なメンテナンスが必要
そのため、手術後も定期的にメンテナンスに通い、インプラント周囲炎を予防することが必要です。
4. 麻酔下での手術が必要
インプラント埋入手術は、麻酔をともなった手術です。麻酔を安全に行なうため、身体の状態が良くないと手術を受けることはできません。
持病・基礎疾患がある方は、カウンセリングの際に手術できるか医師に確認しましょう。
治療に備えた機器・設備
安全なインプラント治療のためには、医師の技術も必要不可欠ですが、診察・治療設備の充実も重要です。従来の治療方法とは異なり、CTにより多くの情報を得ることや、細菌レベルでの衛生管理といったインプラント治療に適した設備が必要になります。
当院では、CT撮影を利用して問題がある部位を3D画像で撮影すれば、インプラント埋入部分の骨の状態を切開せず把握できます。ほかにもCT撮影を利用すれば、神経の位置を把握でき、神経を痛めず治療が可能です。
また、インプラントというネジ状の人工歯根を埋め込みます。その骨の状態がインプラント手術にマッチしないとき、この治療はできなくなります。
口腔内手術を行うので、感染症リスクも軽減しておかねばなりません。その対策として、手術の前に口腔内のクリーニングを行います。
インプラント治療の流れ
①カウンセリング
専用スペースにてカウンセリングを行います。患者様のお悩みやご希望を踏まえた上で、適切な治療法をご提案いたします。
②歯型を取って、ステントを作製
レントゲンを撮って、顎の骨の状態を調べます。
③レントゲン撮影(CT)
レントゲン・CTによる診査・診断を行い、歯や顎骨の状態、噛み合わせなどを総合的に判断して治療計画を立てていきます。
④インプラント1次オペ
顎の骨の中に、インプラントを埋め込みます。その後歯ぐきを閉じて、インプラントが骨としっかり結合するまで、少し期間を置きます。
上の歯:半年後、下の歯:3か月後(骨の硬さの違いで期間が異なります。)
⑤インプラント2次オペ
インプラントと骨が結合したら、歯ぐきを開いて土台が入るようにインプラントの頭を出します。
⑥土台と被せ物を入れます。
⑥土台と被せ物の型取りをします。
⑦土台と被せ物を入れます。
⑧メンテナンス
治療後は、定期的に医院で噛み合わせのチェックやクリーニングなどのメンテナンスを行います。インプラントの良好な状態を長持ちさせるには、患者様の毎日のセルフケアと、術後のメンテナンスの継続が大きなカギとなります。
インプラント治療費
基本料金(1本につき)
38万円~38万5000円(被せ物の種類により料金が異なります)
ステント・CT撮影 | ¥27,500 (ステント代¥11,000 +CT代¥16,500) |
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インプラント第一オペ | 人工骨なし | ¥198,000 |
人工骨あり | ¥264,000 | |
インプラント第二オペ | ¥22,000 | |
型取り+アバットメント(土台) | ¥66,000 | |
クラウン(冠)セット(いずれか) | ジルコニアステイン | ¥110,000 |
ジルコニアレアリング | ¥104,500 | |
メタルボンド | ¥110,000 | |
ゴールドクラウン | ¥93,500 |
当院での症例
基本料金(1本につき)
38万円~38万5000円(被せ物の種類により料金が異なります)
奥歯が2本なくなった所を、インプラントを2本埋め込んでいます。
自分の歯と変わらない噛みやすさと、色・形の美しさを再現できています。
よくある質問 Q&A
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Q
インプラントをしても不自然な見た目になりませんか?
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A
治療中はプラスチック製の仮歯を装着し、最終的には人工歯が入るので、見た目の心配はありません。
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Q
インプラント治療中に食事はできますか?
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A
特に硬いものや仮歯に負担がかからなければ通常通りに食事出来ます。仮歯はプラスチック製のため破損する可能性があり、強い負担のかかるような硬いものは少し控えた方がいいかもしれないです。
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Q
現在、歯周病になっているのですが、インプラント治療を受けることができますか?
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A
歯周病に罹患している患者さんにおいては、治療後のインプラントの残存率(寿命)が低いことが報告されています。 歯周病に罹患している場合は、歯周病の治療をおこなってから、インプラント治療をおこなうことをお勧めします。
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Q
インプラント治療は痛くないのでしょうか?
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A
インプラント埋入手術の際には、歯を抜いたり歯を削ったりする時に使用する局所麻酔を使用します。 また手術時間が長い場合でも、麻酔医がいるところでは静脈内鎮静法を用いることで、楽に手術を受けることができます。 なので、手術中に痛みを感じることはありません。しかし、麻酔効果は一定時間しか持続しませんので、手術後には鎮痛薬(痛み止め)を服用していただきます。術後の痛みは、症例によって異なりますし、痛みの感じ方の個人差もありますが、通常の場合、鎮痛薬を数回服用する程度で、痛みは次第に治まる筈です。 術後に長期間痛みが継続する場合は、すぐにご連絡ください。
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Q
インプラント治療後の腫れはありますか?
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A
インプラント埋入手術後、インプラント部が腫れます。腫れる程度は手術の状況によりことなりますが、次第に腫れは引きますので心配はいりません。 また手術部位に関連して内出血が起きて顔の一部が紫色になることがあります。このようになった場合にも心配はいりませんが、心配でしたらすぐにご連絡ください。
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Q
歯がぜんぜんないのですが、インプラントは可能ですか?
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A
歯がない場合は上顎、下顎に各5~6本のインプラントを埋入し、このインプラントの上に、繋がった人工歯を入れます。総入れ歯とは違い、顎の骨にしっかり固定されるため食事や会話の際にも問題になりません。
また、オール・オン4と呼ばれる歯がぜんぜんない場合にも適した先進治療法があります。これは4本のインプラントで上部構造を支えるシステムで、手術当日から固定性の仮歯を入れて食事ができます。オール・オン4は、世界で急速に普及した必要最小限の本数で最大の効果を上げるインプラントです。
インプラント治療を検討されている方は
ぜひ当クリニックへお問い合わせください
ひらい歯科クリニックでは、身体への負担を軽減し、安全性が高いインプラント治療を提供できるよう努めています。インプラント治療を考えている方のご相談をお待ちしています。