知覚過敏
こんにちは!
北九州市小倉北区のひらい歯科クリニックです。
冷たいものを飲んだり食べたりした時に感じるキーンとした痛み、歯磨きの時のズキンと感じる痛みや違和感など、虫歯とは少し違う痛みを感じることはありませんか?その症状、もしかすると知覚過敏かもしれません。
普通に生活している時は問題ないのに、冷たいものを口に入れた瞬間に歯がしみて、10秒ほどでおさまる痛みを知覚過敏といいます。甘い食べ物や、歯ブラシの毛先が当たったときに痛みを感じる場合もあります。
日本人の3人に1人は感じたことがあるといわれている知覚過敏ですが、どうしてそんな症状が起こるのでしょうか?
今回は、知覚過敏を引き起こす原因や痛みを感じる仕組みについてご説明します。
知覚過敏が起こる仕組み
知覚過敏のズキンとした痛みは、象牙質に刺激が加わったことへの反応です。歯はエナメル質という硬いカバーとその中(内側)にある象牙質から出来ており、普段象牙質に刺激が加わることはありませんし、痛みを感じることもありません。
しかし何らかの原因によってエナメル質が取れたり擦り減ったりして象牙質が表に出てしまうと、刺激が直接象牙質に加わるようになり、しみたり痛みなどの症状が出るようになります。これが知覚過敏の正体なのです。
痛いと感じる仕組み
エナメル質は硬い陶器のような目の詰まった構造なのですが、象牙質の表面には神経に通じる穴(象牙細管)が無数に空いているため、刺激が加わると痛みを感じます。
むし歯も初期の段階で痛みが出ないのは歯の表面(エナメル質)から溶けていくためで、虫歯がエナメル質を通り越して象牙質まで達して初めて神経に刺激が伝わることによって虫歯の痛みが出始めます。
知覚過敏が虫歯の痛みに似ているのは、同じような過程を経た神経への刺激による痛みだからといえるでしょう。
知覚過敏は、象牙質(象牙細管)が露出して、刺激が神経に伝わることによって生じます。
象牙質が露出してしまう原因として、以下のようなことが考えられます。
1.噛み合わせ?
噛み合わせの当たりが強かったり合っていなかったり、ストレスによって気付かないうちに食いしばりや歯ぎしりをしていることがあります。食いしばりや歯ぎしりは、過度に歯に力がかかり歯に歪みを生じさせるため、歯茎に近い部分のエナメル質が特に欠けやすく、象牙質が露出してしみやすくなるのです。
2.歯磨き
歯を磨く力が強すぎるなど磨き方に問題があると、エナメル質がすり減ったり、歯茎が下がったりするため、象牙質が露出してしみやすくなります。
3.歯周病
歯周病によって歯茎が下がると、歯根(歯の根)が露出します。この歯根部分は、エナメル質よりもやわらかいセメント質という層が象牙質の周りを薄く覆っています。このセメント質が露出することでもしみやすくなりますし、セメント質が薄くなったり欠けることで、象牙質が露出してしみる症状が出やすくなります。
4.プラーク
直接の原因ではありませんが、プラーク中の細菌が出す酸などの刺激物質が痛みを誘発します。さらに、歯を丈夫にする作用(再石灰化)を阻害するため、知覚過敏が持続する原因となります。
むし歯の痛みと知覚過敏の痛み
似たような歯の痛みといわれる虫歯と知覚過敏ですが、その痛みの違いは何でしょうか?
通常、虫歯は痛みが長引きますが、知覚過敏の痛みは一過性で痛みが続くことはありません。
このような違いがありますが、ご自分での判断は難しいものです。
歯科医院では口腔内を見て虫歯の有無を判別していますので、虫歯が原因による痛みか、知覚過敏によるものか明らかになります。
また、肉眼的に見えにくい位置の虫歯が原因の場合がありますのでレントゲン撮影により確認することもあります。
もし、自己判断で知覚過敏と思い込み、そのまま放置してしまうと虫歯が進行してしまうかもしれません。おかしいな、と感じたら痛みの原因を歯科医に相談した方がよいでしょう。
知覚過敏の対処法
歯のエナメル質のすり減りや歯ぐきの下がりは年齢を重ねるごとに進行するので予防することは難しいでしょう。
しかし、日常生活でお口のケアをプラスすれば知覚過敏を緩和することは可能かと思います。
毎日のデンタルケア
先にお話ししたように歯周病が歯ぐきの退縮に関係していますので、知覚過敏の症状があって歯周病に罹患している方は、歯周病のケアを続けると知覚過敏の症状の緩和が期待できます。歯周病ケアの基本は、口腔環境を維持すること。毎日の歯磨き、デンタルフロスと洗口液の使用で歯周病の進行を抑えましょう。
適切なブラッシング
力を入れすぎない適切なブラッシングで、しっかりと歯垢(プラーク)を取り除いて、エナメル質の擦り減りや歯ぐきの下がりを防ぎましょう。また、ご自分のお口や歯に合った歯ブラシを選ぶことも大切です。
酸性の飲食物を取りすぎない
歯は酸に弱いです。虫歯も実は酸で歯が溶けている状態なのです。
「炭酸飲料が大好き」という方や「毎晩の晩酌が欠かせない」という方がいらっしゃるかもしれません。私たちの身の回りには酸性の飲食物があふれているため、その全てを摂取しないで生活するのは不可能に近いことですが、いつものビールや炭酸飲料をお水に変えてみましょう。ご自分の歯を守るのは毎日の生活習慣を少し変えることから始まります。
酸歯科医院での知覚過敏の治療法
薬剤を当該歯牙に塗布し、症状を抑えます。処置してすぐに症状が治まることもあれば、時間がかかることもあります。知覚過敏は一種の生活習慣病ともいえるので、歯科医院での治療と共に知覚過敏を悪化させない生活を心がけましょう。
他にもあるかも?歯痛の原因
虫歯でもなく、知覚過敏の治療をしても症状が改善されない場合はかみしめや、くいしばりが原因の歯痛が疑われます。その場合は、かみ合わせ治療を実施します。
知覚過敏になる原因はさまざまです。特に歯周病が原因の場合は早く治療を始めないと歯を失うことにもつながります。痛みが虫歯によって引き起こされる場合もありますので、自己判断せず、歯科医院でご相談されることをお勧めします。
院長 平井典和