フッ素について①
こんにちは!
北九州市小倉北区のひらい歯科クリニックです。
フッ素って何?
歯みがき粉のCMなどでもおなじみの「フッ素」、歯みがき粉の中に添加されていたり検診で塗布したり頻繁に虫歯予防に用いられるフッ素ですが、この「フッ素」は、歯の質を強くして、むし歯(虫歯)予防に効果があり世界各国で使用されています。
フッ素は化学的に合成されたものではなく、自然界に広く分布している元素です。
ただ、「フッ素」単体では存在することができません。なので、「フッ化物」という安定した化合物として土、川、海、動物、植物など地球上のありとあらゆるところに含まれており、地球上に暮らす生物はみな、フッ素を取り込みながら生きています。食品や海水など、、自然環境の中にもフッ化物として広く含まれており、緑茶や肉類、魚介類、海藻などには特に豊富に含まれています。
フッ化物は、フッ素元素が陰イオン状態のものです。虫歯予防で使うフッ化ナトリウムも、フッ化物の一種で、厳密に言えば「フッ素」とは異なります。ただ、一般的には、虫歯予防に使うフッ化物のことを「フッ素」と呼んでいますので、ここでも以降は「フッ素」と呼ぶことにしましょう。
フッ素は安全?
インターネットなどで「フッ素は危険」という言葉を目にしている方もいるでしょう。安全性はどうなっているのか説明します。
歯医者で虫歯予防用に使われているフッ化物溶液(ゲル)は、かなり高濃度なものです。そのため、取り扱いは専門家が行い、小さな子供に使用する場合には、その使用量に注意が払われています。子供に使用する場合、その量は2g(2ml)以内です。2g中に含まれるフッ化物の量は18mgですが、これぐらいなら急激な毒性を示す心配はありません。専門家が適切な処置で虫歯予防のフッ素塗布をした場合、口の中に残るフッ化物の量は2~3ml程度で済みます。歯科医院で虫歯予防に用いる量であれば、神経質になる必要はないでしょう。
フッ素の虫歯予防メカニズム
①歯が虫歯になるのを抑える「脱灰抑制作用」
フッ素は、3つのメカニズムによって虫歯を予防します。1つめのメカニズムは、フッ素には、エナメル質が溶けて虫歯になるのを抑制する「脱灰抑制効果」という作用。エナメル質の結晶にフッ素が取り込まれることにより、エナメル質の一部を酸化しにくい性質に変化させるのです。
② エナメル質の自己修復作用を助ける「再石灰化促進作用」
もともと、歯のエナメル質には、再石灰化による自己修復機能が備わっています。その自己修復機能を虫歯へと変化する作用が上回ると、虫歯が進行していきます。
2つめのメカニズムは、フッ素がエナメル質表面の虫歯になろうとしている状態のところに結びつき、エナメル質の再石灰化を促進する作用です。エナメル質が虫歯になることを防ぎながら、すでに虫歯化している部分は自己修復を促す、という2つの作用がフッ素にはあります。これらの効果が相乗効果となって、虫歯を予防するのです。
③ 虫歯菌が虫歯の元となる酸生成を抑制
3つめのメカニズムは、プラークに含まれる細菌が酸を生成することを抑制する作用です。このように、フッ素には、虫歯を予防する3つの働きがあり、それが非常に良く効きます。
フッ素を歯の表面に塗るだけで、このように様々な効果があるとは、と驚く方も多いのではないでしょうか。世界各国では塗るだけでなく、水道水に添加されていたり体に取り込む方法でフッ素が虫歯予防に用いられてきた歴史もあるのですが、これだけ効果があれば納得できますね。
フッ素を歯に取り込む方法
日本では、フッ素を虫歯予防に用いる場合は歯の表面に塗る方法が主流です。
歯の表面に塗る方法の他に、経口で体内に摂取することで虫歯を予防する方法もありますが、こちらはあまり日本ではなじみがありません。先進国の水道水にはフッ素が入っていて虫歯予防になるようになっていますが、日本の水道水にはフッ素が入っていません。
毎日の歯みがきでフッ素入りの歯みがき粉を使い、余裕があればフッ素ジェルを用い、検診の際に歯科医院で高濃度のフッ素塗布を行なうのが効果的だと考えられます。
やはり、虫歯予防の効果が高くメリットの大きいフッ素ですので、効果的に利用するのが望ましいといえます。
次回は、フッ素塗布を始める年齢や効果的な利用方法についてお話します。
院長 平井典和


